5/18/2013

鶴ヶ島シティオーケストラ

鶴ヶ島シティオーケストラ「さわやかコンサート」


鶴ヶ島シティオーケストラの演奏会で埼玉県坂戸市まで出かけた。
学生時代の友人O君がチェロで参加しているのだ。

彼は学生時代ギターやマンドリン、コントラバスなどこなし、最後は指揮もやった器用な男なのだ。
現在もギターとかマンドリンのグループにも属し音楽三昧の日々とのこと、実にうらやましい。

坂戸市は東京近郊の衛星都市ではなく、小さいながらも独立した地方都市なのだろう。
アマチュアのオーケストラが存在し、かなり大きな文化会館ホールを持ち、会場はほぼ地元の観客で埋め尽くされている。

坂戸市は思ったよりも遠方で結局少し遅刻してしまった。会場にそっと入ると、すでに演奏は始まっていた。
弦楽器は心地よい音を出している。それに比べ管楽器群はちょっと不安定かな。ホルンが音を外したりしている。しばらく聴いているうちに面白いことを発見した。弦楽器と管楽器の音の聞こえ方が違うのだ。一般的な常識では、弦楽器群を標準の音とし、それに比べそれぞれ特徴ある音色の管楽器を揃えている。
だから弦楽器の音に埋もれることなく 管楽器の音色のが浮かび上がると言われているが、今回は音色の違い以上に、音の伝わり具合の違いが、管楽器の音を際立たせていることに気付いた。(註1)
例えばトランペット奏者が構える角度をちょっと変えるだけで音が違って聞こえる、立体的に変化するとでも言おうか、これは他の管楽器にも言えることで、トロンボーンにしろフルートにしろ同様な傾向なのだ。

会場内に満ちている弦楽器の音を雲に例えてみる。
空一面に広がる雲、そこへ突然稲妻、あるいは徐々に茜色の光が差し込んできたり、雲が切れたらそこには朗々たる月明かり・・・ちょっと気取って見たがこんな感じ。

ここのところリコーダーばかりに関わっている耳には実に新鮮に聞こえた。

ちょっと脱線してしまった、その後、演奏の方は徐々に調子が上がり、最後のメンデルスゾーン交響曲第五番「宗教改革」では最後の楽章でルター作曲と言われる「神は我がやぐら」が高らかに鳴り響き、大拍手、会場を埋め尽くしたほとんど地元の方と思われる観客の方々もじゅうぶん満足できたのではないだろうか。

鶴ヶ島シティオーケストラ さわやかコンサート 2013・5・12 坂戸市文化会館
ボロディン 歌劇「イーゴリ公」序曲
ドヴォルザーク チェコ組曲
メンデルスゾーン 交響曲第5番 「宗教改革」
アンコール ベルディ 歌劇「椿姫」 より 前奏曲

演奏メンバーは50人強、オーボエやファゴットの団員も自前でそろえているとのこと、ほぼバランスが取れている。週一回の練習でここまで仕上げるのは大変だったと思う。年末には第32回定期演奏会も予定されているそうだ。


註 1)音の伝わり具合を乏しい知識で解析して見る。
各々の楽器の音の放射特性、会場の形、演奏者の数が関係する。
弦楽器は多数で舞台上に広がっており、ビブラートをかけながら混然一体となり個々の奏者の音は聞き分けられない。舞台一面に広がっている面音源と考えられる。そのような音の一部は直接観客に届くが、大部分は舞台後方の音響反射板や天井、側面の壁などで複雑に反射しながら会場全体に満ち溢れる。

トランペットは朝顔が向いている前方へ音が放出される。壁などでの反射も少しあるが、直接音のレベルが断然高いので、ほとんど直接音だけで聴くことになる。その上奏者が1〜2名で点音源なので位置をしっかり聞き分けることができる。トロンボーンなどもほぼ同様なパターンだと思う。

フルート、クラリネット、オーボエ、バスーン、など前方だけへ放出されるわけではないので、観客は直接音と関節音のミックスされた音を聞くわけだが、それぞれ異なる音の放射特性のため少しずつ違った響き方をする。それぞれ奏者の数が少なく点音源とみなせるので演奏位置がはっきり聞き分けられる。もちろん目による情報もそれに大きく寄与する。

チェロ、コントラバスのピチカートの音はエンドピンを通して床にも響きが伝わっているようで、弦を弾く音だけではなく、ゴーンという床鳴りのような音を伴っており、深みが加わる。

ホルンは、朝顔が後方に向けられて いるため、舞台後方の音響反射板から反射音のみが耳に届くことになる。そのため遠いところで演奏しているように聞こえる。

音響反射板が音だけでなく光も反射すると考えてみる(鏡のように)、観客である貴方からホルン奏者まで10m,ホルン奏者から反射板までは5mであると仮定する。
ホルンから発せられた音は反射板へ5m進み反射して5m戻って来る。演奏者を飛び越えさらに10m進んで貴方の耳に飛び込む、音は都合20m (5+5+10)の距離を進んで来たのだから、20m先で演奏しているように聞こえる。
念のため鏡の反射板を注意して観察すると、反射板の向こう側5mの位置にホルン奏者が朝顔をこちらに向けて演奏しているのが見える。そう、この鏡の中の奏者の音を聞いているのだ。(5+5+10=20) 

5/06/2013

リコーダージョイント部の補修

デンタルフロス(白色)と赤い糸で補修、キーはピカピカ、木製の「指当て」が見える


メック社のテナーリコーダーを所有している、(Moeck Rottenburgh Tenor  in rosewood)

ロッテンブルグシリーズのローズウッド製、入手したのが 平尾リコーダークラブを結成して間もない頃だから、12~13年ほど前になる。
「あむりす」を通してEMSから輸入した。国内のY社で買うよりだいぶ安かったと記憶している。
最初手にしたとき木目が荒れていたので、現物を見ないで購入したことをちょっと悔やんだのだが、音は徐々に良く鳴るようになり、それが現在まで持続しているのだから大当たりだったと思う。

この楽器で数年前のリザーブコンサートでSail Along Silvery Moon(浪路はるかに)のトップを吹いた。このとき電子リズムマシーンの自動演奏を加えたので場内が一瞬ざわついたのは楽しかった。

しかし一年ほど前に足部管のジョイント部のコルクがはがれてしまったので応急に糸を巻いて使用していた。ところが今度は頭部管のジョイント部のコルクも浮いてきたのだ。修理にはデンタルフロスが良いと読んだ記憶があるのでJohnson & Johnson 社のUnflavored Waxed Floss (18m)を購入して巻いてみた(白い部分)弾力があるので少し巻きづらかった、最初はめたときはちょっときついと思ったが、すぐになじんで、非常に具合が良い。コルクの時よりはめ易く、かつぐらつきが無い。

18mをほぼ使い切ってしまったので、足部管の方は赤い糸で巻きなおした。デンタルフロスほどピシリとは決まらないが、問題なく使用できるし赤い色がちょっと洒落ていると思いませんか。

この楽器の特徴は右手の指が楽なのだ。右手の指穴の間隔が狭くなるよう設計されている。これはヤマハとかモーレンハウエルのテナーを使用してみると判るが、キーがついていても右手の押さえは結構きついのだ。

最後にもうひとつこの楽器の特徴を挙げておく。キーの金色のメッキが頑強で未だ輝きを失わないのだ。これはヤマハのバスやキュングのコントラバスのキーがあっけないほど早くメッキがはがれ色あせてしまったのと大違い。
ひょっとしてメッキではなく金色のムクの金属を使用しているのではないかと思ってしまうほどだ。